年越しは修行三昧?

1年の終わりに近づいた12月31日、シエルは去年と違って日が沈もうとしている海岸で
シェディとキーナの2人が見る中修行をしていた。・・・・・と言うよりもシェディに強制的に連れてこられた
と言った方があっているのかもしれない。その証拠に、主に教えているのはシェディである。
 シェディ「ほらほら、この位でへこたれていちゃダメよ。まだまだ修行はこれからだから。」
  シエル「えぇ〜!?ま、まだ修行するんですかぁ〜?(^ ^;;もう日も沈みますよ〜。
      それも今年最後の夕暮れじゃないですか〜。もう帰って年越ししましょうよ〜。」

  キーナ「私もそうするのかと思い、シェディと来たのですが違ったようですね。」
 シェディ「年越しのおソバなら、後でキーナが取りに行ってくれるから
      今回の修行はまだまだ続くわよ。さあ、ここからは私と剣で修行よ。」

修行には何とか納得していたシエルだが、夜になっても修行が続くと分かりガックリした。
それはキーナも予想していなかったようで、シェディの言ったことに少し驚いた様だ。
その上ソバを取りに行くと言う事にキーナも納得いかなかったようで、キーナの表情が変わる。
  シエル「う〜ん、何で今年はこんな最終日なの〜(^ ^;;」
  キーナ「チョット待ちなさい、シェディ。修行につき合うのはいいとしても、何故私が
      蕎麦の運び屋までやらなければいけないのかしら?説明してもらいましょうか?」

 シェディ「行けば分かるから、今回は協力してちょうだい。そろそろ出来てると思うから。」
直接理由を言わず、行けば分かると言うことにキーナは何か感じたようで、元の表情に戻るとシエルの顔を見て
そのままの状態でテレポートの魔法を唱えて、すぐには消えずゆっくりと話しつつ消えていく。
  キーナ「行ってみて納得いかなかった場合、1日私の言う事聞いてもらうわよ・・・・・。」
 シェディ「はいはい、分かってますって。じゃあ頼んだわよ。・・・・・さあ、いくわよシエルっ!!」
  シエル「わかりました・・・・・って、いきなり奥義クラスの剣技で来ないでくださいよ〜(^ ^;;」
キーナが消えたのを確認して、シェディは最初から剣の奥義をシエルに向かって放った。
そのためシエルは慌てて体勢を作ってよけ、剣を握ってシェディに向かっていく・・・・・。


一方その頃、キーナはルゼ達の家に到着するところだった・・・・・


  キーナ「・・・・・さて、いったいどういう訳なので・・・・・。おいしそうな匂いがしますね。」
   ルゼ「うにゃ〜(^ ^;;キーナにゃん、いきなり現れるとビックリするにゃ〜(^ ^;;」
エスティア「年越し用のお蕎麦でしたらもうじき出来ますので、出来ましたらお願いします。」
   ルゼ「シェディにゃんのおかげで、お正月の準備がはかどるにゃ(^ ^)
      ハイにゃ、お蕎麦2つと1つにゃ。鐘がなったら帰ってきてもいいにゃ〜。」

  キーナ「なるほど、そういう訳でしたか。それならば納得できますね。
      しかし・・・・・このずんどう鍋の蕎麦というのは、どうかとおもいます。」

シェディが何故蕎麦の運び屋まで頼んだのか、ようやく分かったキーナは納得したようだ。
簡単に言えばつまみ大食いをする者がいなければ、正月の準備は早く済み皆が楽になる言うこと、である。
しかしそれはいいとして用意された年越し蕎麦が、普通のが2つとずんどう鍋大盛り1つだったので
キーナは呆れつつ、まずは自分の分をこの場で食べ始めた。するとそれを見たルゼは驚く。
   ルゼ「にゃにゃ?どうしてキーナにゃんはここで食べてるにゃ?」
  キーナ「ただ単に私もお腹が空いただけです。それにシェディとシエルの分は
      そこだけ時間を止めているので、のびたりはしないから心配いりません。」

   ルゼ「キーナにゃんは凄いにゃ〜。うにゃ、そろそろウチらもお蕎麦食べるにゃ。」
エスティア「そうですね、おおかた年越しの準備も終わりましたし(^ ^)では、いただきます。」
おいしそうに蕎麦を食べるキーナを見て、ルゼはお腹が空いたのか自分達の蕎麦も用意して一息つく。
しかしルゼが用意したのは温かいかけ蕎麦と、ざる蕎麦だったのでキーナは不思議な表情になる。
  キーナ「全員が同じ蕎麦を食べるわけではないのですね。1つ冷たい蕎麦のようですが。」
   ルゼ「うにゃ、ウチは冷たい方が好きにゃ〜(^ ^)それにすぐ食べれていいにゃ。」
  キーナ「なるほど、そう言うことでしたか。・・・・・では、ごちそうさまでした。
      そろそろお腹空かしているでしょうから、私はこれで・・・・・。」

先に食べた分先に食べ終わったキーナは、器をテーブルに置いて礼を言ってテレポートしたが
肝心の蕎麦は起きっぱなしになっている。しかし追いかけようにも何処にいるか分からない。
   ルゼ「ハイにゃ〜、頼んだにゃにゃ〜。うにゃ、キーナにゃんは消えたにゃにゃ
      お蕎麦がまだ残ってるにゃ。シエルにゃん達が困っちゃうにゃ〜。」

エスティア「しかし追いかけようにも手段が・・・・・(^ ^;;あら?徐々に消えてるような・・・・・。」
   ルゼ「にゃにゃ、キーナにゃん忘れてなかったにゃ〜。良かったにゃ(^ ^)」
置いてかれた蕎麦を心配した2人だったが、蕎麦もテレポートし始めたので安心した。
そしてキーナが先に修行場に着き、キーナの姿を見たシエルの目が輝いたが
その手には何もなかったのでガックリときて、シェディの攻撃をもろに喰らってしまう。
  シエル「あっ・・・・・ふぎゅ〜う(^ ^;;」
 シェディ「な、何途中で気を抜いてるの、シエル!?怪我してない?大丈夫?」
  キーナ「私を見て気を抜いた様ですね。大丈夫、もうじき来ますよ、お目当ての物が。」
 シェディ「お目当ての物?ああ、そう言えばソバ頼んでたよね。一緒に持ってこなかったの?」
シエルが攻撃を避けきれなかった訳を、シェディは納得したようでシエルの側に行ってみた。
しかしシエルは思った以上にダメージを負ったのか、なかなか起きあがれないでいた。
  キーナ「この場合、回復と食料のどちらがいいのかしら?シエル、どっちがいいかしら?」
 シェディ「いくらなんでも食べ物で回復・・・・・。あら?何か出てきたわね。」
  シエル「・・・・・くんくんくん。何だかおいしそうな匂いがしてきたよぉ〜。」
シェディとキーナがシエルのことについて話していると、遅れてテレポートしたお蕎麦が到着した。
その匂いにいち早く気付いたシエルは、ムクリと起き上がりその匂いの方に向かっていく。
  キーナ「やっぱり回復の術より、食べさせた方がいいみたいですね。さあ、食べなさい。」
  シエル「おっそばだおっそばだ〜(^ ^)うわぁ〜い、こんなにたくさんあるよぉ〜(^ ^)」
 シェディ「こら、待ちなさいシエル。それが一人前な分けないでしょ。キーナ、器は?」
テレポートしてきたのはずんどう鍋で、それを見たシエルはこれで1人前と思ったが
シェディはそうとは思わず、シエルとキーナに話し掛けた。するとキーナは首を横に振る。
  キーナ「シェディの分は、こちらにありますよ。さあ、シエル。思う存分食べなさい。」
  シエル「やったぁ〜(^ ^)じゃあ食べますよ、欲しいと言ってもあげませんよ。」
  キーナ「私は一足早く食べてきましたから、残さず食べていいですよ、シエル。」
 シェディ「ほ、本当にこれで一人前なの!?どう見ても十数人分は・・・・・(^ ^;;」
てっきりずんどう鍋の蕎麦を分ける物だと思っていたシェディは、呆れてものが言えなくなってしまった。
しかしシエルはお構いなしに、ずんどう鍋に合う長い箸を持って蕎麦を食べ始めた。
  シエル「う〜ん、おいしいなぁ〜(^ ^)そば食べたら、もう帰りましょうよ〜。」
 シェディ「何故こんなに大食いになっちゃったのかしらね?まあ、しょうがないけど。
     しかし、そこまで食べたからには、まだまだ修行につき合ってもらうわよ、シエル。」

シェディもそばを食べつつ、シエルの食べっぷりに呆れていた。しかし食べたからには動いてもらおうと
持っている箸をシエルに向け、少し怒鳴るようにこれからの予定をシエルに話した。
  シエル「えぇ〜(^ ^;;まだ修行するんですかぁ〜。もう帰って、年越しましょうよ〜。」
  キーナ「私はさすがにもう帰りますよ、これで用も済んだことでしょうし。」
 シェディ「ええ、ありがとうキーナ。後はこっちでやっとくから。」
  キーナ「ではシエル、シェディが飽きるまで頑張ってね。・・・・・テレポート、」
さすがにこれ以上はつき合ってられないと、キーナはシェディの食べ終わった器を持ってテレポートしていった。
するとシエルはキーナが最後に言った言葉が気になり、消えていくキーナに向かって叫ぶ。
  シエル「飽きるまでっていったい何ですかぁ〜(^ ^;;キーナ様ぁ〜おいてかないで〜。」
 シェディ「・・・・・ふっふっふ、真実を知ってしまったわね。さあ、修行再開よ。」
  シエル「いったいいつまで修行するんですか〜(^ ^;;うわっ、いきなり奥義は止めて〜(;_;)」
 シェディ「泣き言を言ってる暇があったら、とっとと反撃なさいっ!!!」
こうして修行は再開され、シェディは憂さ晴らしをするかのように強力な技を仕掛けてきた。
シエルは始め避けるのが精一杯だったが、徐々に反撃し始めていい修行になっていった。


・・・そしてキーナは器を返しにルゼの所に行く・・・・・


   ルゼ「もうじき除夜の鐘が聞こえてくるにゃ〜。今年も終わりにゃ、来年が始まるにゃ。」
エスティア「そうですね(^ ^)来年もまたよろしくお願いします、ルゼさん(^ ^)」
   ルゼ「ウチの方こそよろしくにゃ〜。・・・・・うにゃ、何か来るにゃ〜。」
ルゼとエスティアはこたつに入りながら、お茶を飲みつつゴロゴロしていた。
しかししばらくしてテレポート現象が見えたので、ルゼは誰が来たのか気になり、その様子を眺める。
そして人の形に姿を現すと、そこにはキーナが器を持って実体化し、器をこたつの上に置く。
  キーナ「シェディは食べ終わりましたので、器を持ってきました。
      と言うよりも、もうつき合ってられませんので私だけ帰ってきました。」

   ルゼ「もう鐘がなるにゃ。戻ってきてもいいにゃにゃ〜、」
キーナだけ先に帰ってきたことを知り、エスティアはもちろんのことルゼも気になったようだ。
しかしキーナはあきれ顔で、何故戻ってこないかを2人に説明することにした。
  キーナ「シエルは帰りたがってましたが、シェディが狂ったように修行させてまして(^ ^;;
      明日には帰ってくると思いますので、気長に待ちましょう・・・・・。」

   ルゼ「・・・・・うにゃ、3人で新年を迎えるにゃ。鐘が終わったら、お酒飲んでお祝いにゃ。」
  キーナ「いいですねぇ、ご一緒しましょう(^ ^)エスティアはどうするんですか?
      気になるのでしたら、2人の元に送ることも出来ますよ・・・・・。」

エスティア「・・・・・・・・・・いえ、私もここでお酒を頂戴します。真剣に修行しているところを
      邪魔しては悪いですし・・・・・。シエルさん、頑張って。」

除夜の鐘が鳴っている間にルゼはお酒を用意し、鐘が鳴り終わるとビンの蓋を開けてコップに注ぐ。
   ルゼ「新年あけましておめでとうにゃ〜(^ ^)今年もよろしくにゃ(^ ^)」
エスティア「あけましておめでとうございます、皆さん(^ ^)今年もよろしくお願いしますね。」
  キーナ「はい、あけましておめでとう。しかしシェディ達は帰ってきませんね。
      この様子だと、朝まで修行してそうな・・・・・。まあ、いいでしょう。」

   ルゼ「そうにゃそうにゃ、いいにゃいいにゃ。にゃにゃ、お酒飲むにゃ〜(^ ^)」
  キーナ「では・・・・・乾杯(^ ^)今年もいい年でありますよう・・・・・。」
新年の挨拶をしたあと3人はお酒を飲み始め、新年早々飲み会が始まった。
一方未だ修行中のシェディとシエルは、鐘の音に気付かないほど修行に熱中していた。
とはいえ、シエルの方は薄々とだが鐘の音が聞こえていたものの、いま言うとさらにきつくなると思い
何も言わずにシェディとの修行につき合い続けた・・・・・・・・・・。


そして数時間後、空が徐々に明るくなり始めた頃、シェディの攻撃の手が止まった。


 シェディ「・・・・・あら、もうこんな時間になったのね。シエル、修行は終わりよ。」
  シエル「やっと終わりですかぁ〜(^ ^;;もうふらふらですよ〜。」
 シェディ「そんなこと言わずに、海の方を見てみなさい。いい眺めよシエル。」
  シエル「いい眺めって・・・・・。あっ、そろそろ日が昇りますね(^ ^)」
 シェディ「今年は初日の出が無事見られそうよ。どう?こういう新年もいいでしょ?」
ふらふらの体で何とか海の方を見たシエルは、徐々に日が昇っていくのをじっくりと眺める。
疲れた体で見る初日の出は思った以上に感動的で、シエルはいつのまにか涙を流していた。
 シェディ「そ、そんなに修行がきつかった!?(^ ^;;まさか泣くとは・・・・・。」
  シエル「あ、あれ?何で涙を流しているんだろ?別に悲しくないですよ、シェディさん。
      たぶん初日の出に感動しているんじゃないかなぁ?」

 シェディ「そ、そう・・・・・。それならいいんだけど(^ ^;;」
さすがにやりすぎたと思ったシェディは、オロオロと慌ててしまった。
しかしシエルはそうじゃないことをシェディに言うと、涙を拭いて笑顔を見せた。
  シエル「それよりも、そろそろ帰りましょうよ〜。もうお腹空いちゃって空いちゃって(^ ^;;」
 シェディ「そ、そうね。じゃあ私の手をつかみなさい、シエル。・・・・・行くわよ、テレポート。」
  シエル「ふらふらな時にテレポートは勘弁して〜(;_;)」
こうして年越し修行(?)を終えた2人は、ルゼの待つ家に向かってテレポートしていった・・・・・。





普段とは少し違い、修行で年を越したシエル。もちろん戻った後は、正月料理を満喫した。
その食べっぷりは朝食だけで食べ尽くしそうな雰囲気だったが
予想したかのように大量の料理を作っていたルゼとエスティア。
今年も1年、みんな元気で頑張ってくれることでしょう(^ ^)
平和で楽しい1年でありますように・・・・・。今年もよろしくお願いいたしますm(_._)m
2002年12月31日完成(^ ^;;



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